Poem / Photography 「底」

何かが底を付いた時
しばらくそこに定着して上を見上げる

此処は安定して良いねと
聞こえそうで それでいて更に下があるかのような恐怖

「どんな状況下でも詩を書き続けなさい」と
父が言っているように思えて

底をテーブルに書いてみる
透明なそのテーブルが更に下を映し出すから
ハジにつかまって何とか踏ん張る

ー落ちる!ー
ふとガタついた神経が
テーブルのハジから私を更に下へと追いやる

涙だけが浮上して行き
ドサッと また下に落ちる

痛めた足腰が感覚を取り戻すと
また上を見上げる

私は上に向かっているのか?
それとも下か?

透き通ったその場所でうずくまりながら
ふと上も下もないと…

ただこの大地に足をつけ
遥か上の空を見るのか 
それとも足元を眺めるのか

その違いだと

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 「リキッド」

「夢…そして時間」

「夢…そして時間」

夢を見て 起きて
また眠った時 
夢の続きを見た

どんな意味があるのだろう?
続きを見たくても見れない夢ばかりなのに

結びつき 対人関係
破局 生きるエネルギー
調べれば色々出てきた

一つ言えるのは
目覚めた時に心地よかったこと

私は夢の中で生きて
現実で死んでいたから

こもりたかった
人が怖くなって 
もう表には出たくないと
また感じていた

なのに あの指輪
不思議な色に輝いて
時計が付いていた

「時間」 最近考えていたこと

心身の傷を癒し
嫌悪を無くし
愛情を深め
想い出をキレイにし

そんな「時間」がわかる時計の付いた指輪を貰った

夢の中では時間には意味がなかったけれど
現実で私は時間を気にして生活している
何もなくとも 常に時間を見ている

気付けば後十年生きたら五十五歳だ
その頃 母もネコたちもいるだろうか?
この十年を思えば 「時間」は確実に加速していて
このままジェットコースターのように急速に過ぎて行くのだろうか?

夢…
幸せな夢…
まだ見たい夢…
まだ掴みたい夢…

どうか時間よ
私に成長と幸せを感じる事の出来る心を

どうか時間よ
これ以上の最悪の事態を止めてほしい

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 11

Poem / Photography 「写真詩集」

model : Maya Inoue

Poem / Photography 「写真詩集」

「臨時休業」

行くあてなどなかった
ただトボトボと歩いて
いつもの喫茶店に行ければ
それで良かった

家から出たかった
少し秋めいた風に当たりたかった
夕焼けを見て
深呼吸をして

辿り着けば
喫茶店のシャッターは下りていて
「本日臨時休業」とあった
涼みたかったのにこれだ

ぷらぷらとコンビニに入り
少し涼みがてら商品を見る
見慣れたおにぎりやサンドイッチ
お腹が空いていたんだ

私はその間ずっと
ボーッとしていて
現実と異空間の狭間で
取り残された様な感覚になっていた

交差する思考や想いが
時に人を酷く独りにする
顔だけは知っている店員さんに商品を差し出し
「袋もお願いします」と言う

自動的にポイントカードを出して
会計を済ませると
またふらふらと表に出る
ーやけに蒸すな…ー

今日会ったのは
宅配のお兄さんと
コンビニの店員さんか
すれ違う人たちとは目を合わさなかったもんな

誰のことも呼ばなかった
頭も心も空っぽ
そんな日があっても良いと思った
独りはじっくり味わえば良い

それでも想ってくれる人たちがいることを知っていて
私の幸せや健康を気にかけてくれる人たちがいて
見えない所でいつも祈ってくれていて
それを感じているから文句などないのだ

腰がきしむの感じながら
私は帰ったら冷水シャワーを浴びようと考えていた
台風は本当に来るのだろうか?
キレイな夕焼けだ

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 2

Poem / Photography 「お風呂」

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

「お風呂」

この部屋のお風呂が好きだった

小窓がついていて
土曜の昼間の日差しや
雨の日のポツポツ音
じーっとお湯に浸かりながら
外界を感じていた

冬場の夜
寝る前に身体を暖めてくれて
初夏の少し涼しい昼間
冷えたお水を美味しく飲ませてくれて

建て付けが古いせいで
立派なお風呂ではなかったかもしれない
それでも私はこのお風呂がとても好きだった

寂しい時は耳まで浸かって
お湯の鼓動を聞いた
気分の良い時は
お気に入りの入浴剤を入れた

不思議と掃除も苦ではなく
どの部屋よりもここのお風呂に沢山入った

またいつか戻って来るのかな?
新しい環境で私はまたお風呂が好きになるのかな?

その日その日
その時間その時間で
違う顔を見せてくれたここのお風呂に
もうすぐさよならだ

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 「底」

Poem / Photography 「幾億回の…」

「幾億回の…」

一日中死んだように薬を飲んで寝倒した夜
やっとシャワーを浴びて
いつも以上に強く身体を擦った後
初夏の夜の風に当たりながら
ふと幸福を感じた

夜に流れるメロディ
冷えた水
隣で眠る猫たち
明日が雨でも関係ない
今 私が少しの幸せを感じられたのなら
感謝の念を持ってまた眠りに付けるのなら

それでいい

何度目に立ち上がった
何度目に感謝した
生きている限り終わりなんてない
全てに終わりがあり
始まりもまた ある

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 12

Poem / Photography 「夢…そして時間」

「夢…そして時間」

夢を見て 起きて
また眠った時 
夢の続きを見た

どんな意味があるのだろう?
続きを見たくても見れない夢ばかりなのに

結びつき 対人関係
破局 生きるエネルギー
調べれば色々出てきた

一つ言えるのは
目覚めた時に心地よかったこと

私は夢の中で生きて
現実で死んでいたから

こもりたかった
人が怖くなって 
もう表には出たくないと
また感じていた

なのに あの指輪
不思議な色に輝いて
時計が付いていた



「時間」 最近考えていたこと

心身の傷を癒し
嫌悪を無くし
愛情を深め
想い出をキレイにし

そんな「時間」がわかる時計の付いた指輪を貰った

夢の中では時間には意味がなかったけれど
現実で私は時間を気にして生活している
何もなくとも 常に時間を見ている

気付けば後十年生きたら五十五歳だ
その頃 母もネコたちもいるだろうか?
この十年を思えば 「時間」は確実に加速していて
このままジェットコースターのように急速に過ぎて行くのだろうか?



夢…
幸せな夢…
まだ見たい夢…
まだ掴みたい夢…

どうか時間よ
私に成長と幸せを感じる事の出来る心を

どうか時間よ
これ以上の最悪の事態を止めてほしい

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 11

Poem / Photography 「雨の日」

「雨の日」

母の居る施設の喫煙所から見える
杉の木が枝を垂らして雨を受け止めている

その雨音に心の地面が濡れて行き
近未来の事も過去の全ても
放り投げて
腰の痛みに耐えながら
ため息を付く

浄化されて行くように
「今」しかないこの時を感じて

またやる事が増えた
無気力に拍車がかかって
後もう少しと
缶コーヒーを飲み切る

湿気の帯びた空気が窓から入ってくると
ヒア汗がおでこを濡らし
前髪がベタつく

疲れからか
目が滲んで涙がゆっくりと頬をつたう

母に別れを告げると
電車に揺られ
最寄り駅に着いた時には
安堵で背中が軽くなった

雨は少し上がっていて
傘がなくても歩けた

自分の限界を何度超えただろう?
その度に強くなっているようで
その度に世界から遠のいてる気になる

背中を丸めたまま
いつもの喫茶店に入り
家で留守番をしている猫たちを思った

「パパ、ちゃんと二人を守ってね」
痛み止めを飲みながら
後少し歩けば帰れると
一時の静かな時間に感謝した

私には私の世界がある
母のそれとは違う
それでも交差して
泣き笑い ハグをして
確かめ合う

今日 母が笑ってくれたことが
多分嬉しかったのだろう

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 10

Poem / Photography 「心の幸せ」

「心の幸せ」

不安定に安定の液体が一滴落ちただけで
心には平安が宿る

身体の疲れは感じていても
無駄に涙を流すこともなく
「心の幸せ」を噛み締めている

猫たちもいつになく大人しく
それぞれの場所でゆったりと眠る

世の中の黒いものを忘れた訳ではないのだ
眠る前にはいつだって祈っている
ただ一つ加えたのが「心の幸せ」

欲しい物は買って来た
食べたい物も食べて来た

これからは共有したい
人よがりの欲求だけではない
分かち合える何か

スリルがないねと誰かは言うかな?
それでも私にとっては貴重なもの

そんな「心の幸せ」を刻んだ指輪を
貴方にあげよう

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 9

Poem / Photography 「ピリオド」

「ピリオド」

ピリオドを打てないのには理由があった
その訳があまりに情けなくて
あまりにバカらしくて
繋がる意味を軽率にする

人と人が関わる時
共に人生を歩もうと手を取り合う時
見えなかった もしくは 見たくなかったものが
見えてしまう時がある

さらけ出さなければいけなくて
さらされて手に負えないことも

どれだけ色恋を語り合って
どれだけ涙を流して愛していると叫んでも
片方だけの想いでは成り立たない
最後に残るのは ピリオドをきちんと打てるか?という事

今 ピリオドが「…」となり
毎日頭を過り
「これきり」に出来ない訳があるせいで
また苦しむ

それでも前を
それでも私の人生は進み
良い事も悪い事も毎日起きて
生きている事に疲れたと思った途端に感謝したり

「…」が「.」に変わる時が来るのか?
五月の冷えた雨音に
少し冷静になる事を教わった

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 8

Poem / Photography 「平和」

「平和」

疲れ切って
化粧も落とさず眠りに付いた夜

夜中の三時に覚醒し
熱いシャワーを浴びてから
早朝に二度目の眠りに付く

今日は夏日
換気をした部屋で
冷風が流れる

平和だ
外から聞こえる子供の笑い声
静かに毛繕いをする猫

平和だ
心が穏やかだということが
この上なくありがたい

何処かで生死を彷徨う人たちがいる限り
祈る気持ちは忘れたくない

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 7