
poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi
「お風呂」
この部屋のお風呂が好きだった
小窓がついていて
土曜の昼間の日差しや
雨の日のポツポツ音
じーっとお湯に浸かりながら
外界を感じていた
冬場の夜
寝る前に身体を暖めてくれて
初夏の少し涼しい昼間
冷えたお水を美味しく飲ませてくれて
建て付けが古いせいで
立派なお風呂ではなかったかもしれない
それでも私はこのお風呂がとても好きだった
寂しい時は耳まで浸かって
お湯の鼓動を聞いた
気分の良い時は
お気に入りの入浴剤を入れた
不思議と掃除も苦ではなく
どの部屋よりもここのお風呂に沢山入った
またいつか戻って来るのかな?
新しい環境で私はまたお風呂が好きになるのかな?
その日その日
その時間その時間で
違う顔を見せてくれたここのお風呂に
もうすぐさよならだ
poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi
Poem / Photography 「底」