Poem / Photography 「雨の日」

「雨の日」

母の居る施設の喫煙所から見える
杉の木が枝を垂らして雨を受け止めている

その雨音に心の地面が濡れて行き
近未来の事も過去の全ても
放り投げて
腰の痛みに耐えながら
ため息を付く

浄化されて行くように
「今」しかないこの時を感じて

またやる事が増えた
無気力に拍車がかかって
後もう少しと
缶コーヒーを飲み切る

湿気の帯びた空気が窓から入ってくると
ヒア汗がおでこを濡らし
前髪がベタつく

疲れからか
目が滲んで涙がゆっくりと頬をつたう

母に別れを告げると
電車に揺られ
最寄り駅に着いた時には
安堵で背中が軽くなった

雨は少し上がっていて
傘がなくても歩けた

自分の限界を何度超えただろう?
その度に強くなっているようで
その度に世界から遠のいてる気になる

背中を丸めたまま
いつもの喫茶店に入り
家で留守番をしている猫たちを思った

「パパ、ちゃんと二人を守ってね」
痛み止めを飲みながら
後少し歩けば帰れると
一時の静かな時間に感謝した

私には私の世界がある
母のそれとは違う
それでも交差して
泣き笑い ハグをして
確かめ合う

今日 母が笑ってくれたことが
多分嬉しかったのだろう

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 10

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Tetsuro Higashi

Tokyo Japn Photographer

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