シャッターの奥にある「問い」──写真が記録から思考へと変わるとき

シャッターの奥にある「問い」──写真が記録から思考へと変わるとき

風景が美しいと感じたとき、私たちは自然とシャッターを切る。
朝焼けが雲を淡く染めていく瞬間や、夕暮れの街角に立ち尽くす人の後ろ姿。
あるいは、ガラス越しにこぼれる午後の光が、テーブルの上のカップに反射しているような、なんでもない情景。

そうした光景は、たしかに「美しい」。
写真は、そんな美しさを「一瞬の記録」としてとどめる、優れた道具だ。
その意味において、写真は、長らく「時の保管庫」としての役割を担ってきた。
見逃してしまうような細部を留め、変化していく世界を固定し、再び思い出させてくれる。

だが、私は最近、こうした写真の役割に物足りなさを覚えるようになってきた。
正確に言えば、「記録としての写真」の在り方そのものではなく、その先にある可能性を感じ始めた、というほうが正しいかもしれない。

写真とは本当に、それだけのものなのか?

ある日、写真展を巡っていたときのことだ。
壁に並んでいたのは、いずれも「問い」を感じさせる作品ばかりだった。
誰かのポートレートであっても、その視線の行方が意味深で、見る者の内側に何かを反響させてくる。
無人の空間の写真であっても、そこに「なぜこの場を選んだのか」「この空間は何を語っているのか」といった意図が感じられる。

それは、単なる風景の記録でもなく、出来事の切り取りでもなかった。
むしろ、見る者の「思考を引き出す装置」のように、そこに置かれていた。

その瞬間、私は気づいたのだ。
写真はいつの間にか、「答えを見せるもの」ではなく、「問いを投げかけるもの」に変わりつつある、と。

Traveler of Time  Naked Truth

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Tetsuro Higashi

I was born and brought up in Tokyo Japan. Now I teach mathematics . At age 20 I took up painting. I took up taking photos before 5 years. I have learned taking photos by myself . I grew up while watching ukiyo-e and have learned a lot from Sandro Botticelli , Pablo Picasso. Studying works of Rembrandt Hamensz . Van Rijn, I make up the light and shadow. * INTERNATIONAL PHOTO EXPO 2015 / 26 February ~ 31 March Piramid Sanat Istanbul, Turkey * World Contemporary Art 2015 Nobember Piramid Sanat Istanbul, Turkey * Festival Europeen de la Photo de Nu 06 ~ 16 May 2016 Solo exposition at palais de l archeveche arles, France *2016 Photo Beijing 13~26th October *Sponsored by Tetsuya Fukui 23 February - 02 March 2019 Cafe & Bar Reverse in Ginza,Tokyo,Japan *Salon de la Photo de Paris 8th – 10th – 11th 2019 directed by Rachel Hardouin *Photo Expo Setagaya April 2020 in Galerie #1317 *Exhibition NAKED 2020 in Himeji    Produce : Akiko Shinmura      Event Organizer : Audience Aresorate December 1th ~ 14th  2020

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