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「ヘソを体の中心と考えている」という視点は、撮影において非常に重要な考え方です。人間の体は様々な形や姿勢を取りますが、体のバランスを保つ中心点としてのヘソに焦点を当てることで、撮影の安定感が向上します。カメラ位置をヘソの高さに合わせるという基本的なアプローチは、自然なバランスを保った写真を生み出すための土台となります。これにより、体全体が自然に収まり、バランスの取れた構図が得られるのです。
実際に撮影を行う際、ヘソを意識することは多くの状況で有効です。人物写真においては、ヘソが体の中心であるため、カメラの位置をヘソの高さに合わせることで、立体感が強調され、被写体の存在感が増します。特に全身を写す場合、カメラ位置が高すぎたり低すぎたりすると、体が不自然に見えたり、部分的に強調されすぎたりすることがあります。しかし、ヘソを基準にすることで、自然な視点で撮影できるため、結果的にバランスの取れた写真が生まれるのです。

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ただし、ヘソを中心にしながらも、フォーカスポイントは最も強調したい部分に合わせることが大切です。オートフォーカスを使用する場合でも、ただ漫然と焦点を合わせるのではなく、具体的に何を際立たせたいのかを明確にしておく必要があります。被写体の肌に漠然とフォーカスポイントを合わせると、カメラが迷ってしまい、ピントが甘くなることがあります。このような場合、明確に形や色が分かる部分、例えばヘソ、バストトップ、唇、または眼などにピントを合わせることで、シャープな仕上がりが期待できます。
カメラの性能にもよりますが、オートフォーカスに頼るだけでは不十分な場合があります。特に、明暗差や色のコントラストが少ない箇所に焦点を合わせると、ピントが甘くなることが多いです。そのため、肌の柔らかな部分や陰影が少ない部分ではなく、鮮明な線がある箇所、例えば目元や口元など、フォーカスがしっかりと合いやすい部分に意識的にピントを合わせることが重要です。これにより、被写体全体が引き締まった印象を持つ写真に仕上がります。

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さらに、ヘソを意識した撮影においても、焦点距離の設定は一点に絞ることが求められます。広い範囲にフォーカスをかけるのではなく、特定の一点に集中することで、被写体の印象がより強くなります。特にポートレート撮影では、顔や目元などに焦点を合わせることで、人物の感情や個性が引き立ちます。一方で、全身を撮影する場合でも、ヘソを中心としながら、フォーカスを他の重要な部分に合わせることで、体全体の調和が取れた写真が得られます。
結局のところ、ヘソを体の中心と捉えるアプローチは、撮影における構図の基本として機能しますが、それだけではなく、フォーカスポイントの選定やカメラの設定にも細心の注意を払うことが、写真全体のクオリティを向上させる鍵となります。カメラの性能や設定に頼りすぎることなく、被写体の特徴や光の条件を考慮しながら、より意識的にピントを合わせることで、鮮明で魅力的な写真を生み出すことができるのです。

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ここに掲載されている画像は、過去5年間にわたり記録されたものであり、モデルの体の変化が顕著に表れています。私自身、直接尋ねたわけではありませんが、体重にして5キロほどの変化があったのではないかと感じています。この一連の写真を撮影した時期は、おそらくモデルが最も体重が増えていた時期かもしれません。その変化は、撮影を重ねる中で自然に感じ取れるものであり、長期にわたる撮影を通して、モデルの体型の微妙な変遷が映し出されています。
私の撮影スタイルは、あらゆる要素を逆算して構築されています。まず、モデルが決まった時点で、最終的にどのような画像に仕上げたいかを詳細にイメージします。そのため、撮影前に完成形を明確に描き、どのような段階を踏んで編集を行っていくかをあらかじめ計画しています。このようなアプローチにより、撮影中にはすでに頭の中で完成形のビジョンが浮かんでおり、それに向けて必要な要素を原画として収めていくのです。

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この撮影方法において、原画はあくまでも「素材」として捉えられます。撮影の際にカメラのプレビュー画面をモデルに見せることがありますが、その際、しばしば「暗くてよくわからない写真だ」と言われることがあります。これはモデル自身がポーズの確認をするためにプレビューを見せる場面で起こりますが、私はその時点での原画が完成作品としての写真であるとは考えていません。むしろ、原画は後の編集プロセスを経て初めて命が吹き込まれる素材に過ぎないのです。
私のイメージする最終的な画像には、ライティング、色調、構図など、さまざまな要素が絡み合いますが、その全ては編集を通して形作られていきます。そのため、撮影時には、最終的にどのような加工を施すかを予測し、それに合わせた光の使い方や角度を意識して原画を撮影します。結果として、撮影の段階では一見「未完成」とも思える写真が出来上がりますが、それはあくまでもデータとしての役割を果たしているに過ぎません。最終的な仕上げは、編集の中で行われるのです。

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このように、私の撮影スタイルは徹底した計画性と編集プロセスを重視しています。原画がそのまま完成作品となることはほとんどなく、むしろその原画をどのように加工し、編集するかが作品の質を決定づける重要な要素となっています。そのため、撮影の段階では細部にこだわらず、全体のバランスを重視しながら撮影を進め、最終的なビジョンに向けて一つ一つのパーツを揃えていくというプロセスを大切にしています。
創作において、完成形を強くイメージすることは大切ですが、同時に柔軟な発想や編集過程での発見も重要です。撮影中に思いがけない要素が生まれることもあり、それが最終的な作品に新たな息吹を与えることもしばしばです。そうした予期せぬ展開も含めて、最終的な作品は撮影から編集に至るまでの一連のプロセスの中で少しずつ形作られていきます。

初めてのヌードモデル「ポーズの固定はしない」