ヌード これはエロスの昇華

さらに重要なのは、「まなざし」の倫理です。現代思想では、見る行為そのものが権力や欲望と結びつくことが指摘されています。しかし芸術教育は、そのまなざしを自覚的なものへと変える契機を持ちます。無自覚な視線は対象を消費しますが、自覚的な視線は対象を尊重します。モデルが一人の人格を持つ存在であることを理解し、その身体を学びの協働者として見るとき、視線は倫理的緊張を帯びます。この倫理的次元が加わることで、美的好奇心はより成熟したものとなります。

哲学的に言えば、これはエロスの昇華とも言えるでしょう。欲望のエネルギーが抑え込まれるのではなく、より高次の関心へと方向づけられるのです。心理学的には、衝動が象徴化され、知的活動へと統合される過程です。美学的には、身体が感覚的対象から形式的探究の場へと変容することです。

この移り変わりは一瞬で起こるものではありません。戸惑いと揺らぎを経ながら、次第に視線は澄んでいきます。ある日、生徒が「美しい」と感じた理由を言葉にしようとし、そこに線の緊張や面のつながりを見いだしたとき、すでに好奇心の質は変わっています。性的刺激に向けられていたエネルギーは、形の秩序や量感の奥行きを探る力へと転じています。

ヌードが美的好奇心の対象となるとは、身体を通して世界の構造を学ぶことです。それは人間という存在の物質性と精神性を同時に見つめる行為でもあります。教育の役割は、禁止することではなく、見る力を育てることにあります。欲望を否定するのではなく、それを理解し、より広い視野へと導くこと。その過程で、生徒のまなざしは成熟し、ヌードは単なる刺激ではなく、造形の宇宙として立ち現れてくるのです。

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Tetsuro Higashi

I was born and brought up in Tokyo Japan. Now I teach mathematics . At age 20 I took up painting. I took up taking photos before 5 years. I have learned taking photos by myself . I grew up while watching ukiyo-e and have learned a lot from Sandro Botticelli , Pablo Picasso. Studying works of Rembrandt Hamensz . Van Rijn, I make up the light and shadow. * INTERNATIONAL PHOTO EXPO 2015 / 26 February ~ 31 March Piramid Sanat Istanbul, Turkey * World Contemporary Art 2015 Nobember Piramid Sanat Istanbul, Turkey * Festival Europeen de la Photo de Nu 06 ~ 16 May 2016 Solo exposition at palais de l archeveche arles, France *2016 Photo Beijing 13~26th October *Sponsored by Tetsuya Fukui 23 February - 02 March 2019 Cafe & Bar Reverse in Ginza,Tokyo,Japan *Salon de la Photo de Paris 8th – 10th – 11th 2019 directed by Rachel Hardouin *Photo Expo Setagaya April 2020 in Galerie #1317 *Exhibition NAKED 2020 in Himeji    Produce : Akiko Shinmura      Event Organizer : Audience Aresorate December 1th ~ 14th  2020

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