トランスジェンダー・モデル すきら(Skhilla) ヌードポーズ集 「両義性」を写す

「両義性」を写す

「両義性」を写す――それは、単に「男性性と女性性が同居している」という表層的な意味ではありません。むしろ、それは時間の堆積であり、選択の痕跡であり、そして不可逆な変化に伴う“静かな震え”のようなものです。

トランスジェンダーのモデルを前にしたとき、写真家が向き合うのは「現在の姿」ではなく、「過去と現在が同時に存在している状態」そのものです。彼女の身体には、かつての自己が完全には消え去らず、かといって現在の自己もまた完全に固定されているわけではない。その中間に漂う、いわば“存在の揺らぎ”がある。

「失ったもの」とは何か。それは単に肉体的特徴や社会的役割だけではありません。幼少期から積み重ねてきた記憶、他者から与えられてきた呼び名、無意識に刷り込まれてきた振る舞い――そうしたものすべてが、ある意味で「過去の自己」として彼女の内側に残り続けています。完全に捨て去ることはできない。むしろ、それらは沈殿し、時に輪郭を持って浮かび上がる。

一方で「手に入れたもの」は、単なる新しい性ではなく、「自ら選び取った自己」です。それは与えられたものではなく、痛みや葛藤、そして長い思索の末にようやく掴み取ったものです。そのため、そこには強い意志と、ある種の覚悟が宿っています。言い換えれば、それは“選択された存在”の輝きでもある。

この二つは決して滑らかに融合するわけではありません。むしろ、常に微細な摩擦を生み続けています。その摩擦こそが「緊張」であり、写真家が感じ取るべき核心です。

撮影の現場において、その緊張はしばしば一瞬の表情や、ふとした仕草に現れます。例えば、柔らかく微笑んだ直後に見せるほんのわずかな硬さ。あるいは、身体のラインは女性的でありながら、視線の奥に宿る強い警戒や決意。そこには「現在を生きようとする意志」と「過去が消えきらない現実」が同時に刻まれているのです。

重要なのは、そのどちらかを強調することではありません。「女性としての完成」を美しく撮ることでも、「過去の痕跡」を暴くことでもない。その両方が拮抗し、均衡を保ちながら共存している瞬間――まさに“あいだ”を捉えることです。

言い換えれば、それは「完成された像」を拒む態度でもあります。むしろ未完成であり続けること、揺らぎ続けること、そのプロセスそのものに美を見出す視点です。トランスジェンダーという存在は、固定されたアイデンティティではなく、「変化し続ける自己」の象徴でもあるからです。

さらに踏み込めば、この両義性は彼女個人の問題にとどまりません。それは私たちすべてに潜むものでもあります。人は誰しも、過去の自分を完全には捨てられず、同時に新しい自分へと変わろうとする。その意味で、トランスジェンダーの身体は、人間存在の本質をより可視化したものとも言えるでしょう。

だからこそ、その緊張を写すという行為は、単なるポートレートを超えます。それは「存在とは何か」「自己とは何か」という問いへの、ひとつの視覚的な応答です。

彼女の中にある両義性を写すとは、失われたものへの静かな追悼であり、同時に、獲得された自己への祝福でもある。その二つが同時に鳴り響く、わずかな瞬間――そこにカメラを向けること。それこそが、このテーマにおける最も深いアプローチなのではないでしょうか。

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Tetsuro Higashi

I was born and brought up in Tokyo Japan. Now I teach mathematics . At age 20 I took up painting. I took up taking photos before 5 years. I have learned taking photos by myself . I grew up while watching ukiyo-e and have learned a lot from Sandro Botticelli , Pablo Picasso. Studying works of Rembrandt Hamensz . Van Rijn, I make up the light and shadow. * INTERNATIONAL PHOTO EXPO 2015 / 26 February ~ 31 March Piramid Sanat Istanbul, Turkey * World Contemporary Art 2015 Nobember Piramid Sanat Istanbul, Turkey * Festival Europeen de la Photo de Nu 06 ~ 16 May 2016 Solo exposition at palais de l archeveche arles, France *2016 Photo Beijing 13~26th October *Sponsored by Tetsuya Fukui 23 February - 02 March 2019 Cafe & Bar Reverse in Ginza,Tokyo,Japan *Salon de la Photo de Paris 8th – 10th – 11th 2019 directed by Rachel Hardouin *Photo Expo Setagaya April 2020 in Galerie #1317 *Exhibition NAKED 2020 in Himeji    Produce : Akiko Shinmura      Event Organizer : Audience Aresorate December 1th ~ 14th  2020

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