長い旅路を終えた者が、自らの歩みを振り返る時の、あの深い沈黙に似ている 晩秋

晩秋の空気には、どこか人生の終わりをそっと思い起こさせるものがある。木々が葉を落とす姿は、決して劇的ではない。むしろ音もなく、ひとつ、またひとつと、自然の摂理に身を委ねるように降り積もっていく。その静けさは、長い旅路を終えた者が、自らの歩みを振り返る時の、あの深い沈黙に似ている。

夕暮れ時、光が弱まりはじめると、世界は一瞬だけやわらかくなる。色彩は重たく沈み、輪郭は溶けあい、すべてが静かに幕を引く準備をしているかのようだ。その光景に触れていると、人生の黄昏とは、必ずしも悲嘆に満ちたものではなく、むしろ、長い時間を受け止めるための穏やかな場所なのだと気付かされる。

晩秋の風に吹かれていると、自分の内側にも「手放す」という感覚が芽生える。若い頃には強く握りしめていた希望や焦燥や野心が、落葉のようにひらりとほどけていく。そこにあるのは喪失ではなく、軽やかさだ。人生の終末とは、すべてを抱えることをやめ、必要なものだけを胸に残していく過程なのかもしれない。

そして、晩秋の冷たさには、どこか不思議なぬくもりがある。確かに風は冷たく、夜は早く訪れる。それでも、木々の幹に残るわずかな陽の温度や、家々の窓に灯る小さな光を見つめていると、静かだが確かな希望を感じる。

人生の終わりもまた、こうした晩秋のように、静寂の中にひそかな光を宿しているのだろう。すべてが落ち着き、余白だけが残ったとき、ようやく人は、自分の歩んできた道の美しさに気付くのかもしれない。

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Tetsuro Higashi

I was born and brought up in Tokyo Japan. Now I teach mathematics . At age 20 I took up painting. I took up taking photos before 5 years. I have learned taking photos by myself . I grew up while watching ukiyo-e and have learned a lot from Sandro Botticelli , Pablo Picasso. Studying works of Rembrandt Hamensz . Van Rijn, I make up the light and shadow. * INTERNATIONAL PHOTO EXPO 2015 / 26 February ~ 31 March Piramid Sanat Istanbul, Turkey * World Contemporary Art 2015 Nobember Piramid Sanat Istanbul, Turkey * Festival Europeen de la Photo de Nu 06 ~ 16 May 2016 Solo exposition at palais de l archeveche arles, France *2016 Photo Beijing 13~26th October *Sponsored by Tetsuya Fukui 23 February - 02 March 2019 Cafe & Bar Reverse in Ginza,Tokyo,Japan *Salon de la Photo de Paris 8th – 10th – 11th 2019 directed by Rachel Hardouin *Photo Expo Setagaya April 2020 in Galerie #1317 *Exhibition NAKED 2020 in Himeji    Produce : Akiko Shinmura      Event Organizer : Audience Aresorate December 1th ~ 14th  2020

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