鏡とヌードという古くて新しいモチーフ

鏡を使ったヌード表現は、西洋美術では古くから繰り返されてきたモチーフです。たとえば、トゥールーズ=ロートレックの「鏡の前のヌード」などでは、裸体と鏡像、自意識と視線といったテーマがすでに意識されていました。wga.hu また、女性画家スザンヌ・ヴァラドンによる《鏡の前のヌード》(1909年)も、主体としての女性の視線や身体と鏡を媒介とする重層性を提示する作品です。artchive.com こうした古典的背景を引き継ぎつつ、現代写真家たちは鏡をただ反射装置とするのではなく、「視覚のメタ的構造」を露わにする装置として用いてきています。

鏡には、被写体の存在を二重化し、目に見えるもの/見えないもの、正視/回避、主体/客体という境界を撹乱する力があります。女性ヌードを鏡とともに撮る、という行為には、その撹乱性と、視線の転換・不確定性を活かす潜在性があるのです。

以降、まず鏡を媒介とした視線と関係性の構造を論じ、次に現代フランスの作家たち、あるいは彼らと接近する概念的潮流を参照しながら、鏡を使った女性ヌード撮影における美と倫理を考察します。

鏡・視線・自己/他者の重奏

鏡を用いるということは、「実在する身体」と「鏡像」という反射体のズレを取り込むことを意味します。鏡像は、必ず実物とずれを孕む。鏡の角度、歪み、光線、鏡面の質、カメラ・レンズの条件…これらすべてが像を変奏させます。つまり鏡を使った撮影は、単に“鏡の前でヌードを撮る”のではなく、「鏡+身体+カメラ」それぞれの干渉関係が画面を立ち上げることになるのです。

この意味で、鏡を構図に組み込む行為は、視覚のメタ的構造を顕在化する効果を持ちます。被写体と撮影者、視者の間における視線の交錯やズレ、あるいは鏡像という“反転他者”の存在感によって、単なる裸体の展示とは異なる複雑な関係性が生まれます。

具体的には、以下のような関係性が想定されます。

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Tetsuro Higashi

I was born and brought up in Tokyo Japan. Now I teach mathematics . At age 20 I took up painting. I took up taking photos before 5 years. I have learned taking photos by myself . I grew up while watching ukiyo-e and have learned a lot from Sandro Botticelli , Pablo Picasso. Studying works of Rembrandt Hamensz . Van Rijn, I make up the light and shadow. * INTERNATIONAL PHOTO EXPO 2015 / 26 February ~ 31 March Piramid Sanat Istanbul, Turkey * World Contemporary Art 2015 Nobember Piramid Sanat Istanbul, Turkey * Festival Europeen de la Photo de Nu 06 ~ 16 May 2016 Solo exposition at palais de l archeveche arles, France *2016 Photo Beijing 13~26th October *Sponsored by Tetsuya Fukui 23 February - 02 March 2019 Cafe & Bar Reverse in Ginza,Tokyo,Japan *Salon de la Photo de Paris 8th – 10th – 11th 2019 directed by Rachel Hardouin *Photo Expo Setagaya April 2020 in Galerie #1317 *Exhibition NAKED 2020 in Himeji    Produce : Akiko Shinmura      Event Organizer : Audience Aresorate December 1th ~ 14th  2020