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「ピカソ 100年後の夢見る人」
その一枚の絵の前で、私はしばらく動くことができなかった。
長年、心の奥底でぼんやりと夢見てきた「絵」が、いま確かに目の前に存在していたからだ。
私はこれまで、言葉にならない感覚を抱え続けてきた。
色とも形とも断定できない、けれど確かに自分の中にある感性の気配。
それは時に、記憶の断片のようであり、時に、まだ見ぬ風景の予感のようでもあった。
しかし、その絵は違った。
私が説明できずにいた感覚を、静かに、そして容赦なく描き出していた。
まるで作者が私の内面に降りていき、感性の真底をそっとすくい上げたかのようだった。
驚きとともに、どこか安堵のような感情も湧き上がった。
「ここにあったのか」
そんな思いが胸の奥で小さく響いた。
芸術作品に出会うということは、
新しい世界を見ることではなく、
自分でも知らなかった自分自身を見つけることなのかもしれない。
その絵は、私に何かを語りかけたわけではない。
けれど確かに、私の沈黙と深く共鳴していた。
私はただ、静かにその場に立ち尽くし、
長い時間をかけて探し続けていた感覚に、ようやく触れていた。
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