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現在の世界情勢は、「ナショナリズム」と「グローバリズム」という対立軸で捉えると、理解しやすくなるように思われます。
一般に、環境問題や普遍的価値観を強調するのはグローバリズムの立場に立つ人々です。彼らは「世界が同一の価値観を共有すれば、戦争はなくなり、平和が実現する」と説く傾向があります。宗教色は薄く、あるいは無宗教的で、アメリカでは主に東部のエリート層に支持基盤を持っています。一方で、軍産共同体との結びつきも深く、民主党政権下で戦争が起こりやすいという指摘にも、一定の説得力を感じさせます。オバマ政権やバイデン政権は、このグローバリズム的イデオロギーに近いでしょう。
また、中国の習近平政権も共産党一党独裁という体制ではありますが、「世界が共通の価値観を持てば平和にやれる」という発想自体は、広い意味でグローバリズム的だと見ることもできます。その意味で、ここではグローバリズムを「全体主義」と訳しておきます。
私たちの直感では、ナショナリストは戦争を起こしやすく、グローバリストは平和志向が強いように思われがちです。しかし現実を見ると、むしろ逆の傾向が見て取れる点は非常に興味深いところです。「ナショナリズム vs グローバリズム」という対立軸は、「単純だが健全な愛国主義者」と「理知的で平和主義に見えるが、実際には狡猾な全体主義者」と言い換えることもできるかもしれません。
トランプがアメリカ国内で根強い支持を集めたのは、軍産共同体や既得権益を持つ組織を徹底的に批判し、解体しようとしたからです。その結果、既得権益の象徴とも言える大手メディアから激しく敵視されることになりました。これは現在も続いています。
同様に、プーチンがロシア国内で高い支持を得ている背景には、ロシアが経済的に弱体化していた時期に流入したアメリカ資本の企業を排除し、ロシア資本、すなわちオリガルヒを優遇する政策を取ったことがあります。こうした点も、ナショナリズムが国内的な支持を集める一因と考えられるでしょう。



















