『門』 抒情詩による再構成
(夏目漱石『門』より着想)
一
暮れゆく日々の光の中に
小さな家と ふたりの影
宗助とお米は 静かに生きる
罪を背負い 声を殺して
二
過去は声なく 門の奥に
開かぬ戸口に 風が鳴る
かつて愛した 友の妻
奪ったのは 愛か、それとも――
三
平穏のなかに 潜む波紋
仏壇の前で 祈るように
宗助の眼は 遠くを見る
贖いとは何かと 問いながら
四
学僧に会いに 山の寺
悟りを求め 門をくぐる
だが静寂は 何も告げず
ただ木々が風に うなずくだけ
五
人は皆 門の前に立つ
入るべきか 戻るべきか
宗助はまた 日常へ帰る
お米の笑みが 帰る場所
六
罪は消えずとも 時は流れ
ふたりの影は 寄り添って
門の向こうに 何があろうと
今を生きる ただそれだけ

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