
虐待を受けた人々は、たとえ暴力が終わった後でも、心のなかに加害者の声を持ち続ける。
もう誰も叱っていないのに、間違えることを極度に恐れ、誰も責めていないのに、すぐに「すみません」と口にしてしまう。
褒められても受け取れず、愛されても信じられない。
自分の意見を言うことが怖く、自分の感情を表現することがわからない。
これは過去の虐待が「自分の存在は迷惑で、黙っていたほうがいい」と刷り込んできた証拠だ。

社会は、表面に現れた「傷」や「事件」には注目するが、虐待によって壊された内面にはなかなか目を向けない。
けれど本当に苦しいのは、心に植えつけられた「無価値感」と共に生きることだ。
それは、誰にも見えず、癒すのにも時間がかかる。
しかもその傷を持つ本人でさえ、「自分が悪かったのではないか」と自分を責め続けることが多い。
