榎原依那 New Era FRIDAYデジタル写真集
榎原依那「New Era」FRIDAYデジタル写真集。
人物の魅力を引き出す写真表現に関心のある方に、注目していただきたい一冊です。
人物撮影では、被写体の表情やポージングはもちろん、光の当て方や構図、身体のライン、視線の捉え方などが、写真の印象を大きく左右します。
本作を鑑賞しながら、モデルの個性をどのように引き出し、画面の中に表現しているのかに注目してみてはいかがでしょうか。
写真家やクリエイターにとって、さまざまな写真作品に触れることは、新たな表現のヒントを得る機会にもなります。
人物写真の構図や演出を研究したい方にもおすすめです。
価格:1,650円

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女性の裸体を見たとき、「エロい」と感じる男性もいれば、「美しい」「造形的だ」「これは一つの表現だ」とアートとして見る男性もいる。しかし、この二つは必ずしも完全に対立するものではない。同じ裸体を見ても、見る人の中で何に注意が向くかによって、立ち上がってくる意味が変わるのである。
私自身、長年にわたって女性の裸体を撮影してきた。その経験から感じるのは、裸体とは単なる「身体」ではなく、その人が生きてきた時間や感情、人生そのものが現れる場所だということである。
たとえば、20代の女性を撮影したとき、その人には男性との性的な経験がほとんどないのではないか、と感じたことがある。それは本人から明確に聞いた事実ではなく、あくまで撮影を通して私が感じ取った印象にすぎない。しかし、身体の緊張、ポーズの取り方、カメラとの距離、視線の置き方などには、その人自身の経験や性格が何らかの形で表れるように感じることがある。
また、精神的な問題を抱えていた女性を、本人のリハビリテーションの一環として撮影した経験もある。その場合、私にとって裸体は「性的な対象」という意味から大きく離れていた。カメラの前に立ち、自分の身体を確認し、写真として残す。その行為そのものが、その人にとって自分自身を取り戻すための一つの過程になり得る。ここでは裸体は、欲望の対象ではなく、「自分自身ともう一度向き合うための身体」になる。
さらに、離婚を経験した女性を撮影した際には、そのヌードが元夫に対する一種の「リベンジ」という意味を持っていたのではないか、と感じたこともある。ただし、それも私の想像の域を出ない。本人がそう語ったわけではない。しかし、人生の大きな出来事の後に、あえて自分の身体を写真として残そうとする行為には、「私はまだ私自身である」という意思が含まれている可能性もある。
失恋の後に撮影を求めてきた女性についても同じことを感じることがある。裸体を撮るという行為が、単なる性的な露出ではなく、失われた自信や自己肯定感を取り戻すための行為になっているように見える場合がある。写真の中に残るのは裸の身体だけではない。失恋する前の自分、傷ついた自分、そしてそこから立ち上がろうとする自分。その時間までもが身体に重なって写っているように感じるのである。
こうした経験をしてくると、私は裸体を簡単に「エロ」と「アート」に分類できなくなる。
撮影者である私自身も、最初から完全に性的な視線を排除しているわけではない。女性の身体に魅力を感じることは、人間として自然な感覚でもある。しかし、カメラを構えた瞬間、その身体の向こうにあるものを見るようになる。なぜこの人はここに立っているのか。なぜこのポーズなのか。何を感じているのか。何を表現しようとしているのか。そして、この撮影によって本人は何を得ようとしているのか。
私にとって写真とは、そこで初めて始まる。
だから「エロ」と「アート」の境界は、裸体そのものにはない。むしろ、その裸体を取り巻く「物語」にある。欲望だけを見るのか、その人の人生まで見ようとするのか。その違いによって、同じ裸体がまったく違うものとして立ち上がってくる。
そして、写真家にとって最も重要なのは、モデルの身体を自分の欲望のためだけに消費することではなく、その人が差し出した身体と人生に対して、どのような視線を返すのかということなのだと思う。
私は裸体を撮りながら、身体そのものだけを撮っているのではない。
そこにある孤独、欲望、傷、再生、誇り、そしてその人自身もまだ言葉にできない何かを、写真という形で残そうとしている。
だから私にとって、「エロからアートへ」という道は、性的なものを否定する道ではない。
むしろ、エロティックな感覚を出発点として、そこから一人の人間を見ることへ、身体を見ることから人生を見ることへ、そして人生を見ることから「人間とは何か」という問いへ進んでいく。
その過程こそが、私にとっての裸体写真であり、写真表現なのだと思う。

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