Poem / Photography 「荒れる心」

荒れる心

津波は私の心にも襲っていた
冷たい雨の降る立秋
私は急いで出したカーディガンを羽織って
ベッドに横たわっていた

不安だった
沈黙の中「生きていていいのかな?」と問おうてしまって
その答えが見つからずに
薬を飲んだ

一人な気がした
この世界で
この箱の中で
一人きり 全てから切り離されたかのように

夢を見ているかのようでもあった
ただ 波打つ私の心臓は
大人しくはなかった
大丈夫だろうか?

何度も電話をかけたあの人のことが心配だった
連絡の返事のない人のことも心配だった
生きる理由を見失いそうで
心の波は大きく揺れていた

外気にさらされたかのような
生の心臓は冷え切っていて
そこに流れ込む雨の冷たさは
猛暑の後の急な冷え込みに縮まる想いもしていた

津波…
全てを流し 連れ去ってしまう津波
その本当の恐ろしさも知らずに
私は家猫と同じように
本能を忘れて心を病んだ

荒れる心が
たった一つの灯りを見つければ
それだけでいいと
筆を取った

ただそれだけのことだった

poem : Maya Inoue / photo : Tetsuro Higashi

Poem / Photography 「揺るぎないもの」

Published by

不明 のアバター

Tetsuro Higashi

Tokyo Japn Photographer

コメントを残す