
カメラは「答え」を与えない
以前、ある若い写真家と話す機会があった。
彼は大学で美術を学びながら、社会的なテーマ──移民、ジェンダー、気候変動など──を扱った写真作品を発表していた。
私は彼に尋ねた。「あなたの写真は、何を伝えたいのですか?」
彼は少し考えてから、こう答えた。
「伝えるというより、『一緒に考えてくれませんか?』という感覚です」
この言葉に、私は強く共感した。
写真はかつて、「真実を写すもの」と考えられていた。
だが今、写真が写すものは「真実」ではなく「視点」だ。
そこにあるのは一つの立場、一つの見方にすぎず、それが正しいかどうかではなく、「なぜその視点を選んだのか」を考えさせる。
写真は、見る者に「あなたはどう思いますか?」と静かに問いかけてくる。
だからこそ、現代において重要なのは、「何を写したか」よりも、「なぜそれを写したか」、さらに言えば「それをどう見るか」なのだと思う。

・

・

・
Traveler of Time Naked Truth