戦国小町苦労譚(コミック)726円

フォトエッセイ 「襟足にすべる月の光」
袖を広げて風を抱く
ほのかに香る 梅のかおり
襟足にすべる月の光
静かに 静かに 夜が降りる
母の手が結んだ帯の形
祖母が語る 昔の話
背筋をのばし そっと歩けば
草履の音が ひとつ響く
川面に揺れる 影法師
紅の裾が そよと舞う
「粋」という言葉が生まれた日
それはきっと こんな夜
細雪の降る町角で
桜の舞う春の小径で
そっと和服を羽織るとき
心にふれる 遠い日のこと
あなたもきっと覚えている
あのぬくもり あの言葉
和服の袖に宿るもの
それは過去と未来の囁き
静かにそよぐ風のなか
今日もひとり 羽織をとる
粋に生きるということを
月に語りながら——
