「恋人のフリをしてください」――物語の始まりとして、これほど先の展開が気になる言葉もありません。
元婚約者から逃れるために、主人公が助けを求めた相手は、なんと吸血伯爵。最初は自分を守るための方便にすぎなかったはずなのに、いつしか相手から向けられる視線が変わっていく。そして「演技だった恋」が、思いもよらない本物の愛へと変わっていく。
人の心は不思議なものです。最初から好きだったわけではなくても、一緒に過ごす時間の中で、相手の優しさや思いやりに気づき、いつの間にか大切な存在になっていることがあります。
「逃げるための恋人」が「失いたくない恋人」になる――。吸血伯爵という幻想的な設定の中に、そんな人間らしい心の変化が描かれているのなら、恋愛ファンタジーとしてかなり楽しめそうな一冊です。

元婚約者から逃げるため吸血伯爵に恋人のフリをお願いしたら、なぜか溺愛モードになりました