
Oiran Photograph
「花魁」をテーマにした理由
私が「花魁」をテーマにして撮影したのは、そのファッションがとてもアート的であること。
また、日本固有の文化的背景にも興味を持っていたこと。
同時に人の持つ様々な感覚・感情・感性を(写真に)写し込むことが出来ると思えたこと。
たとえば、愛と嫉妬、幸せと憂い、希望と失意、快楽と憎悪、誇りと劣等感、権威と差別など・・・。
芸者(Geisya)であれば現存することもあり、作品として展示することには問題が生じるが、
花魁(遊女)は売春禁止法the AntiProstitution Lawによって認められてはおらず、
現存しないという意味において作品にすることに問題は生じない。
背景に使っている屏風などは100~200年前のものであり、
着物も古いものを使用しているので、著作権などの問題も生じない。
これまで、私は様々なアート作品に馴染んできた。
それらは浮世絵(an Ukiyoe:a picture of everyday life in the Edo period)であり、
西洋(ヨーロッパ)の絵画や彫刻などです。
もちろん、写真や映像などにも興味を持ってきた。
浮世絵であれば写楽、絵画であればラファエル(English: Raphae,French: Raphael)、
ボッティチェリ(Sandro Botticelli)、アングル( Jean-Auguste-Dominique Ingres )、ゴッホ(Vincent van Gogh)、
ゴーギャン(Eugene Henri Paul Gauguin)、ユトリロ(Maurice Utrillo)、モジリアーニ(Amedeo Clemente Modigliani)、
ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)の作品、シャガール(Marc Chagall)、
カンディンスキー(Wassily Kandinsky)、ピカソ(Pablo Picasso)、マティス(Henri Matisse)などです。
今回の作品では、日本画(Japanese‐style painting)的な線描写(line drawing)とラファエル前派の色彩が生かされている
と考えている。
ここにこうして載せた画像から「モデルの人となり」を
そのまま捉えていると思える。
「花魁」という”究極の設定”にもかかわらず、
彼女らの”らしさ”を確かな印象として残せていると思う。
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スライドショーとして、5つのブロックがあるが、
一番上のブロックの女性は、現代的であり”当時の花魁”という印象はない。
絵的にはとても美しく収まっている。
1枚目の画像は私好みの”ピカソの絵画”を想わせる。
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2つ目のブロックでは、
彼女はそのまま花魁をやっていけるような印象がある。
撮影の最中も「この人は”本物”ではないか!」と思ったことを覚えている。
ファインダーの中から”女の凄み”に似たものが伝わってきた。
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3つ目のブロックでは、
当時の花魁は現代の高級娼婦なわけだから、
”汚れた感”がなければ”絵”になりにくい。
その意味では花魁らしくない。
清楚で神秘的な映り込みがあったりと・・
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4つ目のブロックでは・・
彼女は年齢的に若いこともあり、可愛い花魁にも見えるが、
画像の中に見る彼女の目線は、退廃的な”世捨て人”の目であり、
外見の可愛らしさとのギャップが「シリアスな作品」を生んでいる。
フランスに住むキュレイターが「この目だ!」と言って魅せられていた。
・・私も同感である。
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一番下の5つ目のブロックでは・・
このモデルが最も”花魁の衣装”が似合っている。
素晴らしく美しく写り込んではいるが、
本来(当時)の花魁の印象とは程遠いだろう・・
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プライベートフォト撮影「記念撮影」 「自分の裸が作品になる喜び」