「初めてのヌード」花魁

model : Kimiko Nakahara

左上の画像は「名作?」と思っている。 写真とは、とかく偶然の賜物であると考えがちだが、この作品においては「狙い通りの作品」になったと思っている。

model : Kimiko Nakahara

この画像はかなり癖のある編集をしている。 エッジを立てている(意識的に輪郭を強めるようにしている)。 印象は絵画に近づくが、写真でもなく絵画でもない、「別の領域にある作品」にしようと考えている。 この編集の欠点は、著しく画質が劣化することです。 したがって、A2位の出力までしか耐えられません。

画像の展示というものはとても難しい。 ここでは、展示会と違って、縦に流してみていくことになる。 並びと左右の相性からだろうか、これは!と思って載せた画像がさほど良く見えないし、期待しない画像がけっこうよく見えたりする。

花魁をテーマに撮っているが、モデル本人は普段通りの表情をしており、シリアスさが見えてこないのは残念です。 ”絵”としては良いのですが、花魁に成り切れてません。

花魁以外の画像では、顔の表情はほとんど見えてきませんが、こと花魁の撮影に関しては、顔の表情が”勝負”になる。 そのことに関して、モデルに詳しく伝えたが、上手く伝わらなかったことを覚えている。 撮影現場でのコミュニケーションは難しいのです。 花魁を演出するというのは、役者でも難しいでしょうね。 見た目は艶やかではあるが、目は世捨て人のように死んでないといけないのです。 ・・この辺は、モデルに対する僕の要求レベルが高すぎかもしれませんが、でも、妥協するぐらいなら、作品撮りはしません。

私はカメラを手にしたとたんに、”男性”ではなくなる。 だからなのか、モデルは大胆なポーズをとるようにもなる。 この、”男性ではなくなる”ことは、ヌード撮影においてはとても重要なことで、女性を観る目線が普段の私ではなくなり、性的好奇心を超えた向こう側からカメラを構えていることになる。 左上の写真は、いつか展示会で使おうと思っている(左横から差し込むグリーンの光が美しく出ている・・編集で加えた色だけど)。

私は、明暗でなく色彩で撮る写真家であると思っているし、色彩のある画像をより好んでいる。 だから、作品撮りをする際はモノクロでなくカラーにすることが多くなる。 編集段階において、色彩コントロールはある程度できるが、原画で撮れないと、いくら、フォトショで頑張っても限界がある。

「カラーで撮ることの難しさ」 絵画を描くことを経験したものであれば、その仕上げ段階で「トーンを整える」ことの難しさは誰でも知っている。 写真であれば、自動的に(物理的に正しく)記録してしまうのでとても厄介なことになる。 したがって、背景や衣装などの準備が至極に難しくなる(スタイリストさんの助けを借りると良いのだろうが、テイストが私の趣味に合わなければ、撮影は台無しになるので、全て自分で完結するようにしている)。 撮影で最も大切にすることは「好みの空気感」を創ることだと考える(空気に色付けするように)。

これらの撮影は全て事務所の片隅でセッティングしながら撮った画像である。 ここで難しいことは・・モデルにはそれなりの”演技”は要求される。 それも、花魁が客をとった後の倦怠感と悲哀を演出してもらわないことにはシリアスな絵にはならない。 ここは、フォトグラファーにとってもモデルにとっても、最も難しいことなのです。

ここに「花魁の画像」を数多く載せているが、花魁らしく撮れた画像はほとんどない・・アートとして見応えは十分あるが。 ストーリー性が出てこないからなのか。 花魁に成り切って写り込んでほしいと思うのだが、僕の”意思”が伝わらなかったのか、演出が難しいのか、そのへんのところは今後の課題でもある。 「お客をとった後の倦怠感というか、やるせなさと言うか・・そういう虚しさみたいな空気感を創ろう!」というのは所詮無理なことかもしれない。 

僕を最初に”発掘”したフランスのキュレイターとは、ニースのレントハウスで数日一緒に過ごしたが、「シリアスなストーリー性のある写真」について話し合った。 僕のとった花魁の画像の中で、これはよいが、これはダメだ・・という話になった。 ポーズも含めて花魁(遊女)の表情なのです、その良し悪しの基準は。 ”艶やかな世捨て人の目”が勝負なのです。 

嗜好が入り込むことは当然としても、”性癖”が写り込むような写真は意識的に避けるようにしている。 写真家にも、作品を鑑賞する人たちにも、”性癖”と”ポリシー”との区別が曖昧になっていることが多い(写真は記録するというところからスタートしていることもあり、”現実世界”がリアルに写り込んでいるという前提があるからだろうか)。 私にとって、写真も絵画も彫刻も、ビジュアルアートとして区別することはない。

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